MADE IN JAPAN

完璧な機能と、芸術的な美を湛える「日本刀」。

相手を真っ二つに斬る強さと、髪の毛一本をも斬る鋭さを兼ね備えた「日本刀」は、
鞘から抜いた瞬間から戦えるように設計され、
武器として完璧な機能と美しさをもつ世界最高の剣である。

機能を極限まで追求し、一切の無駄を省いた日本刀の姿・形は、
武士道の精神を表しているといわれている。
日本刀が自ら放つ神秘的な魅力から、
権威や信仰の対象にもなるなど、日本の精神文化の象徴でもあった。

日本刀は、折れず、曲がらず、よく斬れるという機能だけではなく、
その姿の美しさ、刃文(はもん)、沸(にえ)、匂(におい)、映り(うつり)など
地肌の妖艶な美しさは、神秘的で荘厳な芸術品でもある。
これは日本刀1000年の歴史のなかで、
材料となる日本独自の鉄の特質が最大限に引き出された結果、生まれたものである。

究極の鉄づくり「たたら吹き」。

武士の魂には、「玉鋼」という命が生きている。

この日本刀の材料となる鉄は「玉鋼」と呼ばれる。
玉鋼は、炭素量1〜1.5%の鋼で、刃物に最も適する科学組成を持ち、
不純物元素の含有率が極めて低い純粋な鋼。
玉鋼は酸素を多く含むことから、非常に軟らかく伸びやすい性質が得られる。
作刀時の折り返し鍛錬によって物質が微細に分散し、
日本刀を粘り強くしたり、美しい刃文を形成したり、
研ぎ性を高めるなど、本物の日本刀には欠かすことのできない材料となっている。

日本刀が、刀匠の手により幾重もの行程を経て丹念に魂を込めて作られるのと同じように、
玉鋼も「たたら吹き」という古来より伝わる技を受け継いだ匠の手によってしか作ることができない。
日本刀、そして玉鋼は、日本の風土と伝統の技術によって生まれる、
神々しいまでの魅力に満ちた日本固有の文化なのである。

写真提供:島根PR情報誌シマネスク67号