錦織監督には前作の『渾身』でお世話になり、これが本物の映画づくりなんだという初体験の連続で、ものすごく貴重な経験になりました。監督は徹底的にこだわって撮っている印象があります。そのぶん時間もかかるけど、画が美しくて情感があって、つなげていくと最後には誰もが感動してしまう。それが錦織監督のつくる映画の凄さであり、素敵なところだと感じています。
今回の『たたら侍』はJAPAN PRIDEプロジェクトとして、HIROさんがプロデューサーで参加していただけることになり、LDHの本格的な映画製作の第一弾になります。LDHがチームとして取り組むわけですから、劇団EXILEの自分も重要な役割と受けとめていますし、人生を懸けてこの作品に取り組まなきゃいけない、絶対に成功させなきゃいけないと思っています。でも一方では、LDHの映画として初めて一からつくり上げていくのがすごく楽しみでもあります。世界に発信する作品を一緒にやらせていただける。こんなチャンスはないと思いますが、いまの自分は背伸びせずに、この作品に全力でぶつかっていこうという気持ちです。
前作の『渾身』もそうですが、『たたら侍』も日本人の深い部分に踏み込んで表現していく映画。侍としての生き様、村下としての生き様、そこには日本人として「極める」という生き様があります。言葉、たたずまい、史実、侍への憧れ、たたらという鉄に懸ける想い……演じる自分に中身が備わっているかいないかで、カメラを通した見え方が変わってくるので、その時代、その人の生き様をしっかり自分のものにしてチャレンジしたい。日本人ならではの生き様を演じる。それはとても難しい仕事ですが、やり甲斐も大きく、役者としてこの役を極めたいと思っています。
日本を学び直すこと、日本をちゃんと知ること。この映画には、日本人も知らない日本があると思います。僕も若くて知らないことばかりで、だからこそ、この映画をつくる意味があり、『たたら侍』を成功させていろんな人に観てもらえたら、僕みたいな若い人間も「日本にはこんなことがあったんだ、日本にはこういう心が生きてるんだ」と、あらためて知るきっかけになるはず…。そのためにも精いっぱいこの作品に向き合って、『たたら侍』を通じて皆さんに伝えていけるように頑張ります。
2012年 第22回 日本映画批評家大賞 新人賞(南俊子賞)
受賞作:「今日、恋をはじめます」