日本人のイメージって、世界の人たちにはある程度固まってしまっていると思うんですが、それを打ち破って皆さんに気づいてもらいたいことがあります。それは日本人の優しさや穏やかさ、きめ細かさといった本質的な部分。日本人の我々も忘れつつあるけれど、日本人の持っているメンタリティはまだまだ捨てたもんじゃない。繊細で奥深い心を理解してもらうことは、日本人はもちろんですが、アジア、世界の人たちの幸せにもつながるような気がしています。
中国、韓国、ASEAN諸国、インドなども含めて、日本はアジアの文化を享受してきて、あらゆる文化を内包している国じゃないかと思います。でも、そのことをまわりの国々は意外なほど気づいていないし、ある意味、勘違いされている部分もある。だからこそ、本当の意味で日本を伝えたい。今回の『たたら侍』を通じて、上辺だけの侍や刀のイメージ、日本に対する誤解や既成概念を少なくとも覆せるんじゃないかと考えています。
かつて欧米でも武士道が広がり、やがて日本映画などにより、刀を持つ侍といった異文化が一気に世界に広がりましたが、それから久しく日本への理解は深まっていないような気がします。たぶん、日本人自身も本質はわからなくなっているのかもしれない。日本を世界に伝え理解してもらうのと同時に、日本人が日本を再発見するという意味において、単純にウケそうだから時代劇、ということでなく、『たたら侍』では本質的な日本に切り込むことで、日本人であることを心から誇れるエンタテインメント映画にしたい。そして世界の人をあらためて驚かすことができるのではないか、それが若い世代の皆さんにも新しい感覚で伝わってほしいと期待しています。
“Love, Dream, Happiness”という理念は、僕が映画でめざしている世界観と同じではないかと感じています。映画としては、今の日本に問いかけるならこういう形もあるんじゃないか、とHIROさんと二人で話しているとワクワクして発想や夢が広がり、青柳 翔、EXILE TRIBEをはじめ多彩な才能とのコラボなど可能性が何倍にもふくらんでいます。既成概念を壊せるプロデューサーが出現しないと映画は変わらない…。力を合わせ、ゆくゆくは日本の映画づくりに新しい道をつくることができるんじゃないかとHIROさんとの不思議な出会いに感謝しています。