究極の鉄づくり「たたら吹き」。

1300年間、奥出雲に継承される日本独自の製鉄技術。究極の鉄づくり「たたら吹き」。

武士の魂である日本刀を作るために、なくてはならない材料「玉鋼」。
純度が高く、錆びることを知らないこの貴重な鉄は、
1300年の時を超え、古より奥出雲に伝わる「たたら吹き」という
日本独自の製鉄技術でしか生み出せない究極かつ無二の鉄である。

大自然が恵む天然材料と人間の力だけで作るその技は、
現代の最先端技術をもってしても再現不可能な高度な技術。
出雲で採れる良質な砂鉄と木炭を、土で築いた炉で三昼夜もの間、
燃焼させることによって鉄を作り出す。
「たたら吹き」にはマニュアルなど一切なく、
経験と勘に基づいた人間の五感のみで行われる。

「たたら吹き」のすべてを取り仕切るのは、「村下(むらげ)」と呼ばれる
たたらの技を受け継ぎし者。三昼夜、不眠不休で炉の炎に向き合い、
息吹を吹き込み、鉄をまるで生き物のように生み出す。

大地の命、森からの命を得て、「玉鋼」という命へ。
唯一無二の玉鋼は、刀匠によって侍の魂「日本刀」になる。
そこに携わるすべての人間もまた、命懸け。
命はつながっていく、日本刀という神聖な命に……

玉鋼は、大量生産できるものではない。
「たたら吹き」には、世界最高の希少な鉄を作る使命がある。
玉鋼は現在でも全国の刀匠に分配され、日本が誇る伝統技術とともに、
かけがえのない日本の心を伝えている。

日本のものづくりには、「命を吹き込む」という精神が存在する。
だからこそ、世界に比類のないMADE IN JAPANが生み出されるのだろう。
「たたら吹き」は、日本のものづくりの魂を呼び覚ましてくれる。